若女将の加太便り

誕生15周年記念 ひいなの湯リニューアルOPEN!

雑感・夏

ようやくお盆期間が終わり

今朝外に出ると熱風から一気に秋らしい涼風に変わっていてびっくり。

満室続きの数日間

お客さまにご迷惑をおかけすることがないように

良き旅の想い出をお持ち帰りいただけるようにと

スタッフともども心を砕き頑張りました。

 

当然朝から晩まで走り回り家事はほったらかし。

重い足を引きずり部屋に帰ると畳まないままこんもりと山になった洗濯物やら

散らかった机の上やうっすらとホコリを被ったテレビの棚などが

ヘトヘトなカラダをさらに重くするんだよなぁ・・・。

でもちょっと前まではそんな状態にさらにイライラを募らせて

「お母さんはこんなに疲れてるのに家事をしてるのよ!誰にも感謝されないのに!」

的な無言の圧を発しながら

ときどきは子どもたちに当たってしまったりもした。

そして後悔・・・の繰り返し。

いつからか

あまり頑張っていたら潰れる!と気が付いてやめた。

だからホコリも洗濯物の山も平気!

 

 

お母さんは太陽

きっと母親なら誰しも意識する言葉。

初めて長男の顔を見たときも

長女が生まれ次男が生まれ家族が増えるごとに誓ったのは

母は太陽でいなければということ。

太陽のように明るく温かく皆を照らし包み込む存在であらねばと。

けれど誓いは長続きせず

気が付けばいつもこの真逆だった。

 

仕事は楽しかった。

やればやるだけ成果が見えたから。

でも根っからの心配性で自信がなく長女気質な性格のためか

いつも追い立てられていて常に疲れていて

家庭も仕事もごちゃまぜで区別できる環境を構築できず

社長である主人とはうちにいても仕事の話ばかりで言い争いも多くて。

そして思うようにならないその状態を嘆いた。

私は決して強くて正しい母などではなく

幼稚な自分を隠さず晒す全く魅力のない母で

子どもたちはその目でしっかりそれを見て育ってきた。

 

「ウチの家には父親が二人いる」

子どもたちにそう言われたことがある。

だからそのしっぺ返しが今起きている。

私に会いに来てくださるお客さまにたくさん恵まれた代わりに。

欲張りな私はどうしても両方を得たかったけれど

そんな能力がなかったということだ。

辛くて悲しくて悔しいが

不思議と寂しさはない。

なぜならこうなることが心のどこかで覚悟ができていたからだと思う。

それくらい私は太陽とは真逆の台風のような母親で

満足に子育てをしてこなかったから。

でも

もしもう一度同じ人生を歩むチャンスを与えられたとしても

きっとまた同じようにしか生きられないだろうな。

「こんなお母さんでごめんね」

心の中で呟きつつ今日も仕事に向かう。

私にはこれしかないから。

 

敬愛する女将友だちも

自分のことはお構いなしで旅館の将来のことばかり考えてきた人生。

数年前に旅館業から離れ

それまでは当たり前だった数々の心配事から解き放たれ

今は穏やかな水面のような暮らしを楽しんでいらっしゃる。

私もいつかそんな暮らしをすれば太陽のようになれるかな。

食べたいときに食べて寝たい時に寝て

会いたくない人とは会わず行きたい所に行って

欲しいものを買って気ままに楽しく暮らす

いろんな煩わしいものをそぎ落としていけば。

でもそんな太陽は幸せを連れてくるとは限らないのかな。

勝手に納得して慰めた。

 

私も10月で50歳になる。

女性の人生は50歳からとも言うから

ふんわり羽のように軽く生きていきたい。

苦労せずとも子離れできることをありがたく思い

もう少し自身のために生きて行けたらなー。

 

そんなことを思う夏。